多様な果樹を栽培する自然循環型の傾斜地農業
・剣山系では、多種多様な果樹類が栽培されている。また、剣山系では水系により植える果樹類等が異なる。園瀬川水系はミカン・スダチ、鮎喰川水系はスダチ・ウメ・ユコウ、川田川水系はウメ、穴吹川水系はハッサク・ブルーベリー(穴吹)・ユズ(木屋平)、貞光川水系はユズ・クリ・ウメ・キウイ(貞光)、カキ・ギンナン・クリ(一宇)、半田川水系はアタゴカキ、加茂谷川水系・山城町水系はクリなどとなる。一ヵ所で数種類の果樹類等を栽培する多様性農業の形態が見られ、傾斜畑と同じくカヤ等の有機物を施用した多彩な農業技術と知恵が駆使されている。①樹木周囲の草を刈らずに放置し自然肥料とする「草生農法」。②カヤ・落葉・雑木などを敷く古代刈敷農業(有機物利用農業)。③多様な果樹を植える農業、④果樹畑と常畑・茶畑・竹林などを適所に配置するアグロフォレストリーなど。剣山系では、貴重な柑橘類が3種類揃う。それは、スダチ・ユズ・ユコウであり、それは日本で剣山系だけの特徴となる。
1.水系ごとに異なる果樹農業景観

※園瀬川水系 佐那河内村みまつのミカン畑

※鮎喰川水系 神山町鬼籠野字養瀬のすだち畑

※鮎喰川水系 神山町阿野字神木の梅林

※穴吹川水系 美馬市穴吹町仕出原のハッサク畑

※貞光川水系 つるぎ町貞光字平石のユズ畑

※半田川水系 つるぎ町半田字平良石のアカゴカキ畑

※一宇川水系 つるぎ町一宇字赤松のカキ栽培

※一宇川水系 つるぎ町一宇字赤松のギンナン栽培
2.自然循環型の「草生農法」

※ミカンの樹木周囲に草・レンゲ類を生やす(佐那河内村大西)

※ハッサクの樹木周囲の草を施肥として生やす(穴吹町仕出原)
3.果樹の古代刈敷農業(有機物利用農業)

※ハッサク畑の全面にカヤ・ワラを敷く(穴吹町仕出原)

※全面カヤ・落葉敷きのユズ畑(つるぎ町貞光字平石)
4.果樹畑とカヤ場が共存する風景

※ハッサク畑とカヤ場(肥場)の共存(穴吹町)

※ユズ畑とカヤ場(肥場)の共存(貞光字平石)
5.施肥(有機肥料)の流失を防止する知恵

※花柴の施肥(草木)を傾斜地上に置く(一宇字赤松)

※カキの施肥(草木)を傾斜地上に置く(一宇字赤松)
6.果樹の多様性農業

※手前からクリ、杜仲茶、ウメの混合栽培(貞光字平石)

※ユズとキウイの混合栽培(貞光字平石)
7.アグロフォレストリー

※つるぎ町一宇字赤松(カキ、常畑、茶畑、カヤ場)

※美馬市穴吹町仕出原(ハッサク、クヌギ、竹林、カヤ場など)
8.日本を代表する剣山系の柑橘類

※ユコウ

※ユズ

※スダチ