阿波世界農業遺産

伝統農業編-写真展2

貞光字三木栃の麦・芋・茶畑のカヤ利用農業

貞光字三木栃の麦・芋・茶畑のカヤ利用農業 ・つるぎ貞光の三木栃で見かけた傾斜地における麦・芋畑の風景。右が麦、左がカヤを利用した芋栽培、茶畑、さらに奥の窪地にはフキが植えられている。壮大なソラの地の農業は、土地の環境に応じで多種多様な作物が植えられ、伝統的な農村景観を構築しているのである。まさしく「ソラの世界」に特有な農業であった。

貞光字猿飼の高度な急傾斜畑農業

貞光字猿飼の高度な急傾斜畑農業 ・つるぎ町貞光の標高約300前後の猿飼の高地性傾斜地集落には、傾斜が約30~40度に及ぶ、都会人から見れば足がすくむほどの急傾斜地(スキーの上級者コース並)に、石垣を積んだ段畑が作られている。インカのマチュピチュやイタリアのアマルフィーを超える農業風景が展開されている。それは阿波の「ソラの世界」が生み出した土地の環境・風土を生かした独特の農村景観でもある。情報を公開すれば、日本だけでなく、世界から視察が訪れるに違いない。

貞光字猿飼の急傾斜地等高線石垣農業

貞光字猿飼の急傾斜地等高線石垣農業 ・つるぎ町貞光の標高約300m付近、猿飼の約40度傾斜面における農業風景。石垣を積んで土壌流出を防ぎ、等高線上に作物を植えている。農作業は、腰を屈めることなく、合理的に等高線に沿って歩いてゆく。夏には豆・ネギ・芋類が、秋にはソバが植えられる。ここでは、土地の環境を生かした高度な伝統農法や土地利用技術が見られ、情報を公開すれば、多くの学者や観光客が訪れるに違いない。

貞光字猿飼の急傾斜地石垣農業

貞光字猿飼の急傾斜地石垣農業 ・つるぎ町貞光の猿飼地区に見られる農業風景。標高約300m付近の約40度の傾斜面に石垣を何段にも積んで傾斜畑が作られている。その技術水準の高さは平野に住む人にとっては脅威である。畑地には、土壌流出防止・肥料・保水性を保つためカヤを敷いて畑地を守っている。なお、植えられているのは、豆・葱類である。これら急傾斜地農、石垣技術などは、世界に誇る高度農業技術の一つとして登録すべきであるし、そこで行われている伝統農業は、古代刈敷農法の流れを汲むカヤを利用する自然循環型農法であった。

貞光字猿飼の急傾斜畑石垣農業のソラ豆

貞光字猿飼の急傾斜畑石垣農業のソラ豆 ・つるぎ町貞光の猿飼地区(標高約300m)の急傾斜地畑における農業風景。約40度傾斜面の急傾斜地畑に棒を立て、ソラ豆を栽培している。傾斜畦には、カヤを①施肥、②土壌流出の防止、③保水性を保つために入れている。石垣農業のレモン栽培で有名なイタリアのアマルフィーを凌ぐ可能性が高い。これは、「ソラの世界」に住む人々が培ってきた叡智を結集させた農法であり、それは世界に誇る高度農業技術の一つだろう。情報を公開して紹介すれば、興味をもつ多くの学者や農業関係者、観光客が訪れるであろう。

一宇字漆野瀬のカヤ利用農業

一宇字漆野瀬のカヤ利用農業 ・これはつるぎ町一宇の奥、剣山に近い漆野瀬の傾斜畑における芋栽培のカヤ利用農業の風景である。カヤは、保水性・排水性・施肥のため傾斜畑全面に敷かれている。市販肥料を播くより、カヤを投入する方が傾斜地では立派な作物ができるのだと農家の人が教えてくれた。カヤを敷けば、作物の成長に有用な微生物やミミズ・昆虫類・菌の宝庫にもなり、生物多様性が保障される。このような農法は、「ソラの世界」特有の自然循環型の有機物利用農法であった。今こそ、何千年もの人々の農業の叡智を理解して、私たちが次世代に引き継がねばならない。

一宇字一宇のゼンマイの傾斜地畑

一宇字一宇のゼンマイの傾斜地畑 ・つるぎ一宇の一宇地区で見かけた急傾斜地におけるゼンマイ畑の風景。ゼンマイは土地が肥えていないと固くなる。よって、施肥としてカヤが大量に投入されている。カヤは、作物の成長に有用な微生物やミミズ・昆虫類・菌の宝庫のみならず、生物の多様性を保障するもので、これは自然循環型の有機物利用農法であった。この傾斜畑は、高さ約4mの高度な家屋石垣の下部に形成され、畑の周囲は茶園で囲まれている。限界集落化が進めば、その何千年もの人々の農業の叡智が失われるのであり、私たちは理解して次世代に引き継がねばならない。

半田字上蓮のカヤ・ゼンマイ畑

半田字上蓮のカヤ・ゼンマイ畑 ・つるぎ半田の上蓮地区で見かけた傾斜畑の全面にカヤが敷かれたゼンマイ畑の様子。ゼンマイは土地が肥えていないと固くなる。よって、施肥としてカヤが大量に投入されている。カヤは作物の成長に有用な微生物やミミズ・昆虫類・菌の宝庫のみならず、生物の多様性を保障するもので、このような農法は、自然循環型の有機物利用農法であり、古代から続く古代刈敷農法のゼンマイ畑への応用となる。

半田字大畠の尾根上の茶畑

半田字大畠の尾根上の茶畑 ・つるぎ町半田の半田川西岸の高地性傾斜地集落の一つが大畠である。そこでは、尾根上に家屋、そこからの傾斜地に茶園が作られ、さながら天上の茶園という風景を形成している。眼下には吉野川が見える。かつては煙草畑であった。これは、典型的な「ソラの世界」特有な、土地の環境を生かした土地利用技術であり、独特な農村景観を作り出している。

穴吹町猿飼の天上の里山傾斜地の立体農業

穴吹町猿飼の天上の里山傾斜地の立体農業 ・美馬市穴吹町の穴吹川東岸、標高約500m付近の天上の高地性傾斜地集落が猿飼である。頂上部に涵養林と生物多様性を保障する森を残し、その下に天上の里山傾斜地が作られ、根菜類・葉菜類・果樹の栽培地と、コエグロが置かれたカヤ場、シイタケを栽培するクヌギ林がある。「ソラの世界」に、自然循環型の立体農業というべき風景が広がっているのである。


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