阿波世界農業遺産

高地性傾斜集落編-写真展2

穴吹町渕名の高地性傾斜地集落②

穴吹町渕名の高地性傾斜地集落② ・穴吹川西岸の美馬市穴吹町渕名の標高約500m付近の高地性傾斜地集落の風景。上部に森を残し、尾根上に鎮守の森(祠・庚申さん)を守り生物生態系を保障し、下部に萱場(肥料場)、高度な石垣上に屋敷、山の豊かさを示すハデ、その下部に傾斜畑、果樹園があり、独特な集落景観を形成している。かつて谷間には棚田があった。当地は、「ソラの世界」の典型的な高地傾斜地集落であった。

穴吹町渕名の高地性傾斜地集落③

穴吹町渕名の高地性傾斜地集落③ ・美馬市穴吹町渕名の標高400~460mに形成された高地性傾斜地集落で、まさしく「ソラ」の世界の風景。頂上部に生物多様性を保障する森を残し、民家上に肥料を補給するカヤ場を確保し、民家の基部には高い石垣を積み上げ、その下の傾斜地に多様な茶園・畑地(葉菜類・根菜類など)・果樹地が展開されている。この風景は、世界農業遺産の条件に掲げられる農業によって育まれ維持されてきた自然循環型の農村風景と呼ぶにふさわしい。

穴吹町首野の高地性傾斜地集落の全景

穴吹町首野の高地性傾斜地集落の全景 ・美馬市穴吹町の穴吹川西岸に位置する標高50~150mに位置する高地傾斜地集落が忌部伝承をもつ首野である。由来は、古代に忌部の首が住みついた場所と伝わり、「首の窪」はその旧跡であるという。古代においては、宮内までが首野であった。この写真は、対岸の毘沙門嶽の崖上から撮影したもの。頂上部に涵養林を残し、山全体が自然循環型の傾斜地集落を形成し、上部に大麻祠、中央に祭祀丘となる天神の丸、首野堂がある。「白人神社」に奉祀する忌部の宮人もいた。首野では、山上部から、奥山(森)→里山→人里が交互に織りなす世界農業遺産の条件に掲げられた、農業によって育まれてきた農村景観が見られるのである。

美馬市穴吹町の雲上の猿飼集落

美馬市穴吹町の雲上の猿飼集落 ・穴吹川東岸の山上標高約500mに形成された猿飼の高地傾斜地集落は、典型的な「ソラの世界」の集落である。頂上部に涵養林と生物多様性を保障する森を残し、鎮守の森「新田神社」も祀られ、天空の里山世界、棚田と畑地・果樹地が形成され、南米のマチュピチュを思わせる。その猿飼には、世界農業遺産の条件に掲げられる土地の環境を生かした伝統的な農業・農法、農業により育まれ維持されてきた土地利用、技術、農村文化・景観が見られるのである。

東みよし町加茂山の大規模高地性傾斜地集落

東みよし町加茂山の大規模高地性傾斜地集落 ・三好郡東みよし町(旧三加茂町)の加茂山の大規模高地性傾斜地集落と大規模山上傾斜畑の風景。標高約500m前後に広がる広大なソラの世界は訪れる人魅了する。同じ加茂山の3世紀後半の国指定史跡の「丹田古墳」、縄文前期~後期の土器が出土する加茂谷川岩陰遺跡より標高が高い地点に豊かな高地性集落が形成されていることは驚きである。ここでも、山上部に奥山(森)を残し→里山→人里が交互に織りなし独特の景観や、土地利用技術(傾斜地農業・石垣)、農法(落葉・カヤ利用農)が見られるのである。

井川町上段地・井内の高地性傾斜地集落

井川町上段地・井内の高地性傾斜地集落 ・この写真は、三好市井川町の井内谷川西岸の上段地と対岸の東井内の高地性傾斜地集落の風景である。上段地には、生物多様性を保障する鎮守の森と下部に傾斜30度の茶畑が作られている。対岸の東井内にも山上に森を残した大規模な高地性傾斜地集落と傾斜地畑・棚田が広がり、広大な「ソラの世界」を形成している。ここでも、奥山(森)→里山→人里が交互に織りなす独特の景観や、世界農業遺産の条件に掲げられる土地の環境を生かした土地利用技術(傾斜地農業・石垣)や農法(落葉・カヤ利用農)、農村文化(ハデ・巨樹・御堂・神社・寺院等)が見られるのである。

東祖谷山村の落合集落

東祖谷山村の落合集落 ・これは、平家の落人伝説が残る日本の秘境と呼ばれる三好郡東祖谷山村の落合集落の全景写真。国の重要伝統的建造物群保存地区にも指定されている。標高600m~800mの間に、山上に森を残した大規模な高地性傾斜地集落と傾斜畑が広がっている。奥山(森)→里山→人里が交互に織りなす独特の景観や、世界農業遺産の条件に掲げられる土地の環境を生かした土地利用技術(傾斜地農業・石垣)や農法(落葉・カヤ利用農)、農村文化(ハデ・御堂・神社等)が見られるのである。

神山町谷~西野間の大規模な石垣群と棚田

神山町谷~西野間の大規模な石垣群と棚田 ・この写真は、名西郡神山町の神山町役場の裏手、神領字谷~西野間にかけた棚田風景である。標高約160m前後の地点に、壮大な石垣群とあわせ棚田・畑地・果樹地が形成されている。ここでも、世界農業遺産の条件に掲げられる土地の環境を生かした土地利用技術(傾斜地農業・石垣)や農法(カヤ利用農)が見られるのである。この石垣群は、重要文化財に指定すべきであろう。


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