徳島剣山世界農業遺産支援協議会通信-No.10

≪剣山系の伝統農業を継承する世界が注目すべき運動会の開催! ~つるぎ町一宇~≫

[平成26年9月30日(火)]

剣山系の伝統農業を継承する世界が注目すべき運動会の開催1

 ※開会式であいさつする永井会長

・9月28日(日)に、つるぎ町一宇の古見小学校で、最後の古見幼稚園・小学校・地域連合運動会が開催され、一宇地域のみならず一宇を離れた住民も含め約500名が参加し開催された。古見小は6年生3人が卒業すると在校生がいなくなるため、来年は休校となる。地域運動会の継続は未定だが、剣山系の農文化を如実に反映した世界に紹介すべき運動会であった。なお、運動会自体が世界では珍しい地域行事であることを知っておく必要がある。世界農業遺産に指定されれば、剣山系の農文化は次世代に継承せねばならない。その一環として地域運動会による地域農文化の継承がアクションプラントとして必要になるだろう。この運動会は、老若男女が自分の特技を生かして参加でき楽しめる内容となっている素晴らしいもので、紹介されれば日本中の地域再生、伝統文化継承のシステムとしてのトップランナーに位置づけられるだろう。そこで、具体的にその内容を農文化とともに紹介したい。なお、開会式で支援協議会会長の永井英彰氏が、一宇地域を中核に世界農業遺産の話が進行中であることが説明され、これを機に地域を再興しようとの挨拶がなされた。運動会の場で、農業遺産の啓発がなされたのは、日本では剣山系だけであろう。


剣山系の伝統農業を継承する世界が注目すべき運動会の開催2

・昔ながらの貯蔵に使用された樽を竹竿で送る速さを競った。

 < 樽送り >


剣山系の伝統農業を継承する世界が注目すべき運動会の開催3

・縄づくりでは、制限内にチームが編んだ縄の長さを競った。年配の方は手慣れた手つきで編むのだが、地域の方は、どの人が熟練した腕をもっているか熟知していたのが印象的で、若人はその手つきを尊敬の眼差しで見守っていた。

 < 縄づくり >


剣山系の伝統農業を継承する世界が注目すべき運動会の開催4

・カズラで作った輪を投げて点数を競った。輪投げは昔の子どもの遊び。カズラは、剣山系ではコエグロを作る際に必須な自然素材。そのカズラは棕櫚(シュロ)で止められていた。剣山系はシュロの宝庫、農作業や運搬に欠かせない自然素材。昔は、漁網の素材として瀬戸内海に搬出していた。

 < かずら投げ >


剣山系の伝統農業を継承する世界が注目すべき運動会の開催5

・左右重さの違う砂袋を天秤にして担ぎ、リレーをするもの。昔はこの天秤棒で、下肥を運んでいた。その時代の農文化を再現した競技となる。

 < ザ・田子作 >


剣山系の伝統農業を継承する世界が注目すべき運動会の開催6

・背負籠に栗をかなばさみで入れる競技。昔の剣山系の人々の暮らしが忍ばれる。栗は赤松のもので自産自消。一宇は天然の柴栗の宝庫。

 < 栗をひろって腹ごしらえ >


剣山系の伝統農業を継承する世界が注目すべき運動会の開催7

・水をこぼさないように、もう一本の一升瓶に入れる競技。入れるスピードが速い方が勝つのではなく、こぼさずに入れた方が勝ちという、非常に深い意義を感じさせる競技であった。

 < 水ききん >


剣山系の伝統農業を継承する世界が注目すべき運動会の開催8

・カラサオで風船を割り、カヤを束にしてコエグロを作る競技。カラサオはソバや雑穀類を脱穀する伝統的な農具。コエグロは、世界農業遺産となれば、剣山系の農文化のシンボルとなるもの。コエグロ作りもまた、地元では名人は誰もが知る存在であった。

 < こえぐろ作り(1) >


剣山系の伝統農業を継承する世界が注目すべき運動会の開催9

 < こえぐろ作り(2) >


剣山系の伝統農業を継承する世界が注目すべき運動会の開催10

・杉丸太をチョウナと呼ばれる山間部独特のノコギリでひき、前掛けをバトンかわりに速さを競うもの。一宇では、林業も盛ん。伝統の前掛けは、日本独自の文化で、ニューヨークで大好評。

 < 人間チェーンソー(1) >


剣山系の伝統農業を継承する世界が注目すべき運動会の開催11

 < 人間チェーンソー(2) >


剣山系の伝統農業を継承する世界が注目すべき運動会の開催12

・世界農業遺産の申請書にも書かれた剣山系の農文化の一つ「雨乞い踊り」。それが貞光中学校の生徒により披露された。

 < 雨乞い踊り >


剣山系の伝統農業を継承する世界が注目すべき運動会の開催13

・一宇の伝統的な農文化「廻り踊り」。忌部踊りともいう。一宇では、赤松観音堂と太刀之本の地蔵堂で継承されている。

 < 廻り踊り >

[作成] 林 博章

ページトップへ