徳島剣山世界農業遺産支援協議会通信-No.8

≪農水省の現地調査、貞光・一宇・祖谷・山城へ!≫ [平成26年9月18日(木)]

農水省の現地調査、貞光・一宇・祖谷・山城へ1

 ※剪宇地区の傾斜地農業の風景

・9月17日と18日の二日間にわたり、農林水産省の世界農業遺産専門家会議は、[剣山系の傾斜地農耕システム]の現地視察を行った。世界農業遺産の国内候補を選定し、国内2次審査の資料とするため、17日は、つるぎ町貞光の猿飼、一宇の剪宇、18日は東祖谷の落合、栗枝渡、元井、山城町藤川谷を視察した。当日は農林水産省の中四国担当者はじめ学識経験者の委員2名、2市2町で構成する徳島剣山世界農業遺産推進協議会のメンバー(行政担当者)や県庁担当職員も含め、約30名が同行した。また、報道機関も数多く駆けつけ、徳島新聞、朝日新聞、NHKも同行し、その内容はダイジェストで17日夕刻に放映された。


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 ※インタビューを受ける剪宇の古城さん

・剪宇の傾斜畑では、高度な石垣群、カヤを敷き詰めて土壌流失を防止する農法、土を持ち上げるサラエと呼ぶ剣山系特有の農具が紹介された。剪宇は、世界農業遺産への歩みの第一歩を踏み出した場所であった。この地区を紹介したのは、つるぎ町の篠原課長、この地区の情報を集めたのが地域リーダーの葛籠弘一(巨樹王国)さんであった。世界農業遺産へ向けた住民啓発(農家)を最初に行ったのは、剪宇地区である。昨年の7月6日に、世界的に評価すべき傾斜地農業と題して.「剪宇集会所」で講演会(つるぎ町役場・西部県民局も含め)を 30名で行った。講演にあたり、この突拍子もない話が果たして農家の方々に受け入れられるのだろうかと心配していた。しかし、講演後は伝統農業に誇りをもつことができたという声が上がり、限界集落化が進む集落に一筋の光明の柱が指したのは、昨年のことである。地元でも、今まで低評価で見向きもされなかった傾斜地農業が行政関係機関、日本を代表する学者や国連、農水省に注目を浴びることになろうとは思っても見なかったに違いない。17日、堂々とインタビューを受けた古城さんの姿、調査団の方々にあいさつをする姿に私は思わず目がしらが熱くなった。やっとここまで辿り付いたのだと。私の目標は講演で述べるように、剣山系の近代化の波に乗り遅れた山間部の古い農業という評価を覆し、時代の最先端を担う自然共生型の伝統農業という新たな価値観を構築し、地域に夢と誇りを与え、地域再生の柱にすることにあるが、まさしくその一歩が踏みされた瞬間であった。


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 ※猿飼の急傾斜畑で栽培されるソバ

・次の視察地となる貞光の猿飼では、この日のため西岡さんが30度の傾斜畑の最上部に小さな展望台を作り、一行を出迎えていた。その熱意、おもてなしの心には頭が下がる思いであった。視察団一行は、30度傾斜面で営まれているソバ栽培に一応に驚きの声を上げた。また、西岡宅の小庭では、伝統食となるソバ米雑炊などが振る舞われた。昔から伝わる豊穣祈願や家内安全を祈念する「お亥の子さん」習俗も披露され、参加者は一斉にシャッターを切っていた。


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 ※披露された「お亥の子さん」の習俗

・次日の18日は支援協議会会長の永井英彰氏が同行した。東祖谷の栗枝渡では、伝統的な焼畑農業を継承するヒエ、コキビ、モチトウモロコシが紹介され、カヤ場に立つコエグロがその風景を演出した。元井では、約1万年前にアフリカから伝わったとされるシコビエ(ヤツマタ)が紹介された。剣山系は世界的な作物遺伝資源の宝庫なのである。最後の藤川谷の「藤の里工房」では、伝統的な雑穀を使用した産品が紹介された。10月20日には、国内候補を選定する第二次審査が行われる。難関を突破し、歓喜の声が上がることを期待する。

[作成] 林 博章

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