阿波世界農業遺産

伝統農業編-写真展4

穴吹町中野宮の巨樹と自然循環型立体農業②

穴吹町中野宮の巨樹と自然循環型立体農業② ・穴吹町の高地性傾斜地集落の一つが中野宮である。この地区の中央には生物多様性を保障する巨樹を真中に置いた自然循環型農業が展開されている。巨樹の前面に畑地が作られ、それは自然循環型のカヤ・落葉利用農法である。周囲の一角には竹林、背後には果樹、栗、茶が植えられている。手前はクヌギ林で、落葉の下でシイタケが栽培されている。栗木の落葉は、畑地の肥料等へ利用される。ユネスコやFAOに提唱すべき、21世紀の自然との共生の世紀にふさわしい風景、自然循環型立体農業のモデルをここに見ることができる。

穴吹町中野宮の森とカヤ・落葉利用農業

穴吹町中野宮の森とカヤ・落葉利用農業 ・美馬市穴吹町の高地性傾斜地集落の一つが中野宮である。その平坦地の一角には、円形丘状の入らずの森が残され、その前面に畑地が作られている。右側は果樹園、左側はタマネギ畑と菜の花を栽培している。その農法は、自然循環型のカヤ・落葉利用農法であった。中野宮では、深淵な生態系循環思想が人々の生活の智恵として熟知され、それを活かした農業が現在でも展開されているのである。これもまた、ユネスコやFAOに提唱すべき、21世紀の自然と人間との共生関係、自然との共生の世紀にふさわしいモデルを提言している。

穴吹町中野宮の落葉タマネギ農業

穴吹町中野宮の落葉タマネギ農業 ・美馬市穴吹町の穴吹川中流域西岸、高地性傾斜集落の一つが中野宮である。その平坦地の畑地端には、円形丘状の入らずの森が残され、その前面に畑地には、タマネギが栽培されている。その農法は、自然循環型のカヤ・落葉利用農法であった。中野宮では、生態系循環思想が農民の生活の智恵として熟知され、それを活かした農業が現在でも展開されているのである。これもまた、ユネスコやFAOに提唱すべき、21世紀の自然と人間との共生関係、自然との共生の世紀にふさわしいモデルを提言しているといえる。

穴吹町馬内のカヤ茶

穴吹町馬内のカヤ茶 ・美馬市穴吹町の忌部伝承のある馬内地区の一角で見られる茶園の風景。馬内のカヤ利用農法の気付きから阿波農業遺産に関する本格的調査が始まった。カヤは、雑草の成長を抑えるだけでなく、保水性に抜群で、カヤを捲れば分かるのだが、作物の成長に有用な微生物やミミズ・昆虫類・菌の宝庫となっている。これは、生物の多様性をも保障するもので、このような農法は「ソラの世界」特有の伝統的な、その土地の環境を生かした阿波農業であった。この農法より作られた作物はフェアトレードの概念を取り入れ、環境を守る農法で作られた産物として一般より値段を高く設定して扱われるべきである。

穴吹町馬内のカヤ蕎麦干し

穴吹町馬内のカヤ蕎麦干し ・美馬市穴吹町の忌部伝承のある馬内地区の傾斜地畑で見かけた風景。収穫された蕎麦がハザカケに干されている。天日で干すことで、養分がソバにいきわたるのである。整然とソバが干された風景は、日本の美しき農村景観を象徴するものである。地面をみれば、カヤで覆い尽くされている。この蕎麦は単なる蕎麦ではなく、カヤを施肥等に栽培された自然循環型の有機物利用農法、古代刈敷農法に「カヤ蕎麦」と呼べるものであった。この農法で作られた作物はフェアトレードの概念を取り入れ、環境を守る有機物利用農法で作られた産物として一般より値段を高く設定して扱われるべきである。

穴吹町馬内の大根干し

穴吹町馬内の大根干し ・美馬市穴吹町の忌部伝承のある馬内地区の傾斜地畑で見かけた風景。収穫された大根がハザカケに干されている。整然と傾斜地畑で大根が干された風景は、日本の美しき農村景観を象徴するものである。地面は、カヤで覆い尽くされている。この大根も単なる大根ではなく、カヤを施肥等に栽培された自然循環型の有機物利用農法、古代刈敷農法による「カヤ大根」と呼べるものであった。この農法で作られた作物はフェアトレードの概念を取り入れ、環境を守る有機物利用農法で作られた産物として一般より値段を高く設定して扱われるべきである。

一宇字大野の茅葺屋根の民家と伝統食

一宇字大野の茅葺屋根の民家と伝統食 ・つるぎ町一宇の高地性傾斜地集落の一つ、大野地区で見かけた茅葺屋根を残す旧民家の風景。その軒先には、伝統食となる干し柿が吊るされている。また、白く見えるのが干し大根である。これら「ソラの世界」の貴重な伝統的風景を我々の世代で失うことがないよう、その方策と智恵や文化の継承の問題を考えねばならない。

半田字蔭から見た上昇する雲・霧

半田字蔭から見た上昇する雲・霧 ・標高約400m地点、つるぎ町半田の高地性傾斜地集落の一つとなる蔭地区から撮影した風景。高地性傾斜地では、谷筋からの上昇気流がおき、霧が頻繁に発生し、作物の成長を促進させる。冬ともなれば、冷たい空気は谷筋に滞留し、暖かい空気は高地集落に上昇し、高地集落では霜が降りにくいという気温の逆転現象が起きる。このような理由等で、高地性傾斜地集落が阿波では発達し、往古の昔より畑地・棚田が耕作されてきた。まだ、研究すべき課題は多いが、「ソラ集落」は、豊かな山上の世界だったのである。

半田字中熊を上昇する雲・霧

半田字中熊を上昇する雲・霧 ・つるぎ町半田の猿飼から撮影した標高300m~700mに位置する中熊地区。2000㎜近い降水量は施肥となるカヤ・草木の大量の繁茂を促した。高地性傾斜地では、谷筋からの上昇気流がおき、霧が頻繁に発生し、作物の成長を促進させる。冬ともなれば、冷たい空気は谷筋に滞留し、暖かい空気は高地集落に上昇し、高地集落では霜が降りにくいという気温の逆転現象が起きる。このような理由等で、高地性傾斜地集落が阿波では発達し、往古の昔より畑地・棚田が耕作されてきた。まだ、研究すべき課題は多いが、「ソラ集落」は、豊かな山上の世界だったのである。

三波川帯の豊穣を生む土壌(赤土)

三波川帯の豊穣を生む土壌(赤土) ・阿波の「ソラの世界」が発達している地域は、主に三波川帯にあたる。その土壌は、作物の栽培に貴重な玄武岩の風化土壌となる鉄分を多量に含む赤土土壌(玄武岩由来の緑色片岩の風化土壌)であった。徳島市国府町や鴨島町では稲の育苗土としても売られている。その赤土の沃土と2000㎜近い降水量と日照量の多さなどが起因して傾斜地では多くの作物が栽培されることとなった。


ページトップへ