阿波世界農業遺産

民家・石垣・ハデ編-写真展1

穴吹町渕名の石垣とハデ

穴吹町渕名の石垣とハデ ・美馬市穴吹町の高地性傾斜地集落となる渕名には、民家の基部に高さ約2mの高度な石垣を積み上げ、その前に巨大な[ハデ]を構築している。[ハデ]とは、稲・ソバ・大豆などを干すためのもので、ハデに掛けて干せば、葉や茎の養分が実に移動するのである。また、石垣の側に作れば、その輻射熱でよく作物が乾燥する。この巨大な[ハデ]は、阿波のソラ世界の農業の豊かさを示す指標であり、農業によって育まれ維持されてきた伝統的な農業技術・文化の一つでもあり、独特な農村景観を生み出している。

穴吹町猿飼の石垣とハデ

穴吹町猿飼の石垣とハデ ・標高約500mの美馬市穴吹町の天上集落となる猿飼には、民家の基部に高さ約5mの高度な石垣を積み上げ、その前に巨大な[ハデ]を構築している。[ハデ]とは、稲・ソバ・大豆などを干すためのもので、ハデに掛けて干せば、葉や茎の養分が実に移動する。また、石垣の側に作れば、その輻射熱でよく作物が乾燥する。この巨大な[ハデ]は、阿波のソラ世界の農業の豊かさを示す指標であり、農業によって育まれ維持されてきた伝統的な農業技術・文化の一つでもあり、独特な農村景観を生み出している。

穴吹町支納の高度な石垣群

穴吹町支納の高度な石垣群 ・美馬市穴吹町の標高125~180mの地点に位置するのが支納地区集落である。その一つの民家の基部には、高さ約6m以上に及ぶ高度な石垣が積み上げられ、その前に巨大な[ハデ]が作られている。[ハデ]とは、稲・ソバ・大豆などを干すためのもので、ハデに掛けて干せば、葉や茎の養分が実に移動するのである。阿波の三波川帯の結晶片岩は、板状に割れやすい性質をもつ。その特性を生かし、「ソラの世界」の人々は、民家・畑地・棚田に高度な石垣を積む技術が卓越しているのである。これは、土地の環境を生かした伝統的な農業技術・文化・土地利用技術の一つでもあり、独特な農村景観を生み出している。

穴吹町支納の傾斜地上の民家風景

穴吹町支納の傾斜地上の民家風景 ・美馬市穴吹町宮内の「白人神社」の西、標高150~375mの地点に位置するのが梶山集落で、古代より忌部氏が住んでいた。江戸期の讃岐の詩人・取鳥玉藻は、「梶藤の科皮をさらしてあらたふや 紙し はじめは 梶山の原」と詠んだ。それは、忌部氏が楮や穀を栽培していたが故に「梶山」と名付けられた由緒ある土地であった。古代は、穀の繊維で布を作っていた。色が白い布は白妙と呼ばれた。その傾斜地の一角の民家の写真である。

一宇字伊良原の石垣とハデ

一宇字伊良原の石垣とハデ ・一宇の標高約500mの伊良原集落には、家屋の基部に高さ約3mの高度な石垣を積み上げ、その前に巨大な[ハデ]を構築している。[ハデ]とは、稲・ソバ・大豆などを干すためのもので、ハデに掛けて干せば、葉と茎から養分が実に移動するのである。また、石垣の側に作れば、その輻射熱でよく作物が乾燥する。この巨大な[ハデ]は、「ソラの世界」の農業の豊かさを示す指標であり、土地の環境を生かした伝統的な農業技術・文化の一つで、独特な農村景観を生み出している。

一宇字大野の高度な石垣とハデ

一宇字大野の高度な石垣とハデ ・一宇の大野集落には、巨大な岩陰の前面に、高さ約4m~5mに高度な石垣を積み上げ、その上に家屋が建築され、前に巨大な[ハデ]が作られている。[ハデ]とは、稲・ソバ・大豆などを干すためのもので、ハデに掛けて干せば、葉や茎の養分が実に移動するのである。また、石垣の側に作れば、その輻射熱でよく作物が乾燥する。この巨大な[ハデ]は、ソラ農業の豊かさを示す指標であり、石垣技術とともに土地の環境を生かした伝統的な農業技術の一つで、独特な農村景観を生み出している。

一宇字漆野瀬の高地性傾斜地集落

一宇字漆野瀬の高地性傾斜地集落 ・美馬郡つるぎ町一宇の奥地、漆野瀬の傾斜地集落の風景。上部に生物多様性を保障する森を残し、石垣上に家屋を建て、その下に傾斜畑を作っている。畑地の間には、石垣と石積による間道が作られている。ここでも、世界農業遺産の条件に掲げられる土地の環境を生かした伝統的な「ソラの地」の集落景観や土地利用技術(傾斜地農業・石垣)が見られるのである。

一宇字漆野瀬の傾斜地集落の石造道

一宇字漆野瀬の傾斜地集落の石造道 ・美馬郡つるぎ町一宇の奥地、漆野瀬の傾斜地集落における石積による間道の風景。石垣で作られた傾斜地畑の間を縫うように作られている。まるでインカ道を思わせる。ここでも、土地の環境を生かした景観や土地利用技術(石垣)が見られるのである。

貞光字家賀下の民家・石垣・傾斜地畑

貞光字家賀下の民家・石垣・傾斜地畑 ・つるぎ町貞光の家賀は、標高が約200~600mの間に展開する高地性傾斜地集落である。これは、一番下の谷筋付近に作られた高度な石垣を何段にも積んだ傾斜段畑、ハデ、民家が一体となった風景。結晶片岩の割れ易い性質をベースに石垣を積んでいる。「ソラの世界」の人々の智恵の集積が見られる。ここでも、世界農業遺産の条件に掲げられる土地の環境を生かした伝統的な景観や土地利用技術が見られ、家賀全体を世界農業遺産のシンボルにすべきである。

貞光字家賀の石垣とハデのある風景

貞光字家賀の石垣とハデのある風景 ・つるぎ町貞光の家賀地区の一角で見られる風景。屋敷の基部に高さ約2mの石垣を積み上げ、その前に高さ約4mになる巨大な[ハデ]を構築している。[ハデ]とは、稲・ソバ・大豆などを干すためのもので、ハデに掛けて干せば、葉や茎の養分が実に移動するのである。また、石垣の側に作れば、その輻射熱でよく作物が乾燥する。この日本に例をみない巨大な[ハデ]は、ソラ農業の豊かさを示す指標でもあり、石垣文化と合わせ、土地の環境を生かした伝統的な農業技術・文化で、独特な農村景観を生み出している。


ページトップへ